巳の祓
各地の梅の花も満開のシーズンを迎えていますが、花のたよりは春の訪れを感じさせてくれるものです。
春の行事と言えば三月三日の桃の節供を思い浮かべる人も多いでしょう。おひな祭りは古来、上巳(じょうし)の節供とも言われていました。
旧暦三月の初巳の日に行われた心身を祓い清める行事であり、巳の日の祓とも言われ、罪やけがれを人形(ひとがた)に負わせて清らかな川に流しました。これがひな人形の原形となる「流しびな」へと発展したのです。
水の持つ霊力と脱皮するへび(巳)に再生する命や強い生命力を見出した古人の信仰が垣間見えます。美しいおひな様を飾るこのお節供の源流にも祓いのこころが息づいているのですね。
そして四月の初巳の日には当社の例大祭が斎行されます。
欽明天皇十三年(五五二年)より受け継がれて来た由緒ある大祭です。
本年は四月十二日(水)に行われます。
やわらかい陽の光につつまれた春の江の島詣にお出掛けになりませんか。
皆様のご参拝を心よりお待ち致しております。
平成二十九年二月二十六日
江島神社宮司 相原圀彦